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17/11/18 ジョン・ケージと桜沢如一。再びの『REUNION』と『YOMIGAERI』について。

 ■“1968年2月、マルセル・デュシャンはカナダのトロントで行われた「レユニオン」(音楽的「再会」)で、ジョン・ケージを相手に、音響装置付きのチェス盤を使った対戦を行います。その準備と対戦の様子を写真に収めていたのが久保田成子。久保田は1960年にニューヨークへ渡り、1964年から同地でフルクサスに参加、後にナム・ジュン・パイクと結婚することになるビデオ・アーティストですが、1968年10月にデュシャンが亡くなったのを受け、「レユニオン」で撮影した久保田の写真にジョン・ケージのテキストを添え、音盤(ソノシート)を付して出版したのが『REUNION』です”と書いたのは2015年4月4日の新着品ご案内でのこと。当書に関する詳細については、ご面倒かとは存じますが、この時の記述を当項末尾のアドレスよりご参照いただくとして、以来今日まで約2年半。
この間には、ソノシートと函のない1冊を扱い、さらにここに来てソノシートと透明フィルムカバーと函のついた完本が入荷いたしました。
しかも何と2冊! 別々の市場に出品されたのをそれぞれ落札して。何しろ久保田成子の私家版と云ってよいレアな本で、実際、500部の限定出版なのですが。こんなこともあるんですね。
とはいえそこは古書。1冊毎に状態が異なります。以下、AとBとに分けて詳解すると ……

A) 扉に久保田成子の自筆で 「115/500 Mr & Mrs Toshio Matsumoto with love Shigeko Kubota 22nd April 72 in N.Y.C」と書かれており、あの松本俊夫の旧蔵品 !と見られるもの。函の小口側に退色、透明フィルムカバーの一ヶ所欠け、そして本文4ページ(2枚)に折跡があるのが非常に惜しまれる1冊。ちなみに記番のあるのはこれが初めて。
B) 当書刊行当時、美術雑誌の編集者だった人宛の謹呈箋付きで、函に焼け、透明フィルムカバーに大きな裂け、ソノシートの袋の上辺に焼けのある1冊。

 コンティションと旧蔵者の名前から、価格には「 A > B 」で差をつける予定(ただいま検討中)。
これまで小店に入荷した『REUNION』は500部のうち4冊。どうやらご縁のある本だと云えそうですが、この数字、さて、どこまで伸ばせるでしょうか。
尚、当書に関する詳細記事は下記ご参照下さい。
15/04/04 土 1968年。最晩年のマルセル・デュシャンとその周辺の人 彼らが行ったこと 出版された本。→ http://www.nichigetu-do.com/navi/info/detail.php?id=953

ジョン・ケージと云えば鈴木大拙とキノコとマクロビ。今週の2点目は『REUNION』とマクロビオテックつながる『YOMIGAERI』、洋雑誌ではなくローマ字で書かれた『よみがえり』という日本の雑誌です。
『YOMIGAERI』は後にマクロビオティックの提唱者となる桜沢如一、海外ではジョー・オオサワとしてその名の知られるその人がまだ20代半ばだった大正8(1919)年に創刊したローマ字雑誌です。1巻1号より大正11(1922)年の4巻12号まで揃い29冊が合本3冊の姿で入荷しました。
wikiによれば、桜沢は同誌を通じて「大和言葉のよみがえりを提唱し」たとされ、ローデンバックの詩の翻訳なども掲載されていますが、1冊約15~25Pとそれほど厚さのない雑誌でありながら、木版画がふんだんに使われているのも大きな特徴。
創刊号より木版の挿絵を提供していた諏訪兼紀を主力として、深澤索一、北村今三等による表現主義、象徴主義風の作品を多数所収しています。
創刊当時は活版組版と同じ刷面に組み込まれ、両面刷りされていた作品が、4巻では片面刷へと昇格するなど、誌面上での重要度を増して行った様子がうかがる他、大正11年の創刊当時には「1m YOMIGAERI NO IE BIZUTU-TENRANKAI」として諏訪、深澤、北村に、春村ただを、川上澄夫らを加えて展覧会を開くなど(合本3冊目の巻末に展覧会目録所収有)、スタート時より美術、とくに木版画を通じた表現を重要視していたものと見られます。
『YOMIGAERI』創刊2年前には貿易会社の支配人として羽二重を輸出、欧米にも渡るようになったという桜沢の審美眼によるものか、表紙や広告にまで挿入される木版画をペースとした装飾。挿絵に至るまで、どれもなかなかしゃれたものばかり。画像に採りきれなかった図版については、店頭で。是非。

■今週は店内に積んだままになっていた主にアメリカの洋雑誌を少しずつ店内に出し始めている他、明日より木版刷りの着物図案のプレートを徐々に店頭に出していく予定です。
あ。画像左斜め上の『DIE WOCHE』も新たにキャビネット上に顔を並べています。

 

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