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18/02/24 江戸後期の古裂帖と大正末のモードとしてのキモノ / 堀野正雄のグラフ・モンタージュ

■1回休んだために久しぶりの更新となりました。もしかしたら、更新休んでグダグタしてたんだろうと思われるむきもあるやも知れませんが、 現在お客様のご来店を促す唯一の手段たる当HPの更新を休まざるを得ないほどそれはもう忙しかった。この忙しさ、来週以降も続くことになっておりまして、当面店は店としての体をなさなくなる可能性がありますが、例によって週3日で営業いたしておりますので、みなさまにはご来店のほど、何卒よろしくお願い申し上げる次第です。

18日(日)・19日(月)の二日間にわたって開催された中央市大市。東京古書会館の4フロアを使って並べられた出品点数およそ4,700点。このうち絶対これは落札すると決めて臨んだものは本当に数点しか見つけられず、市場で高揚できなくなった自分に少なからず不安を覚えながら、とりあえず本命は落札。
今週の1点目はその最右翼だった古裂帖36×25.5cmの経本仕立て28頁に36種39点の古裂を貼り込んだもの。小店店主、裂についての勉強は本当にまだまだで、もはや時間が足りるまいと観念しておりますが、生地の厚み、刺繍の手、染の色、柄や古び方等々から、それでも全点明治より前、江戸時代と見て間違いないと見ました。僅かに6点ですが、毛筆で品名を記したものあり、曰く、「綿地太子漢東 弘化年製」「鶉織角名物 慶応年製」「金花山織 安政年製」など。 

「名物裂」と云うには新しく、名物を写して製造されたものと思われますが、江戸末期から時を経ること150年超。裂のサイズはたっぷりしたものが多く、糊もやわらかいものが使われているので、いまからでも仕覆や袱紗に仕立ててみるのも面白いんじゃ? なんて、茶道の「さ」の字も知らないヒトが考えたところで これ即ち「休むに似たり」。

■1860年代から時代は下って1920年代。半世紀もすれば人も変わるし好みも変わる。テキスタイルデザインは好事家と富裕層のためのものから大衆、一般市民のためのものへと変わり、職人仕事は大量生産にとって代わられ、ゆえにテキスタイルデザインの世界にもモードが押し寄せるようになった時代に、モードの送り手たちが考えていたことをいまに伝えるのが画像2点目、「服飾流行の研究発表を目的」としして編纂された『くれ羽』入荷は大正15(1926)年発行の7冊です。
発行元となっているのは京都の呉羽会。京都高島屋、大阪高島屋、大阪大丸、大阪三越、大阪松坂屋、大阪十合、京都染織学校、京都高等工芸学校などが会員となっており、ぞれぞれ意匠家、研究者、指導者等が寄稿。但し、主眼が置かれているのはキモノのテキスタイルデザインにあり、この色調をより正確に伝えるために、本文ページには、実作品の生地サンプルもしくは石版画、手彩色画など再現性の高い印刷手法によって作成された別刷が豊富に貼り込まれるスタイルがとられました。結果、いま見ても銘仙を思わせる大胆かつモダンなデザイン・色使いが多く、大正末期の流行をよく表しています。 

方向性は大きく異なりますが、こちらも絶対買うゾと思って入札に臨んだ『犯罪科学』。何しろグラフ・モンタージュの代表誌なので。
今回落札したのは31冊。第二巻第七号から始まる「グラフセクション 世界の表情」シリーズ全冊、巻頭グラビアでの「グラフ・モンタージュ」が実質的にスタートする第二巻第13巻より、堀野正雄が関わった号多数を含んでいました
撮影、構成、編集等で堀野の名前がクレジットされているものをざっと見ていくと、村山知義監督・編集「首都貫流」、大宅壮一「ゲット・セット・ドン」、千田是也「フェイドイン・フェードアウト」、北川冬彦脚本「玉川べり」、久野豊彦「相場街を貫く」、武田麟太郎構成「蔓延する東京1」、編集部構成の「浅草に生きる」「水上生活者」、そして構成・編集・カメラ全て堀野が担当した「終点」「カメラの報告」がある他、伊奈信夫「危機を探る」、松崎啓次「天国・地獄」なども。欠け号はあるものの、ここまで揃って市場に出たのは久しぶりのことです。
フォトモンタージュを多用し、大胆なレイアウトで見るものにテーマを強く訴えるグラフ・モンタージュの表現はここでも是非お目にかけたいものですが、こうなるとどれを取るのが良いものやら選びきれないという贅沢な悩みと、すぐにへこたれる小店店主の睡眠時間確保のために断念。ご興味ある方は店頭で。
第二巻7号より第三巻第16号のうち、コンディションも良好な23冊一括での販売を予定いたしております。

■今週はこの他、木版刷のキモノの図案集2冊、やはり木版刷の『大日本美術図譜』4冊、1900年代フランスのモード雑誌『LA NOUVELLE MODE』7冊などが入荷いたしております。

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