■好天に恵まれたGW、どのように過ごされましたでしょうか。さて、フルにお休みをいただきました日月堂ですが営業を再開いたしております。
で、そんな再開早々にナニですが、来週5月15日(火)は東京洋書会大市のため、営業開始時間が夕方からとなります。本日12日(土)、来週17日(木)、19日(土)は旧に復して12時より20時で営業いたします。
連休前より店内多少は片付いた感じにはなっております。ご来店をお待ちいたしております。
■小店店内棚の側面に、お守りのようにして飾っているハタキ。ハタキといっても白い鳥の羽を使った瀟洒なオブジェでありまして、売り物ではと期待した方に「これは?」と聞かれること再三再四。みなさんお目が高い !
実はこれ、小店が現在地に移転オープンした時に、ポストカード作家の方がお祝いにと下さった勝本みつるさんの作品であります。嬉しかったことといったらそれはもう!!! こうした次第で勝本さんのハタキは非売品。
今週は、その勝本さんの作品が入荷いたしました。こちらは販売いたします。
『WEATHER REPORT Theater Piece for Eve』。和文タイトルを『シアター・ピース イヴのためのシチュエーション・オペラ ウェザー・リポート』とし、1995年、ギャラリー・イヴから発行されたアーティスト・ブックで、限定20部のうちの1点。
32×21cmの箱に薄布の白い手袋、鳥の羽、ガラス管、鳥の羽と小さな模造ダイヤを封印したガラスの試験官、そして、二つ折りセンターページに紐をかけメニューのようなスタイルでまとめられた本1冊が収められています。また、本の各章扉には、水滴を思わせる丸いブルーのシミをあしらったブレパラート状の樹脂が貼り込まれています。これらの造本・図版が勝本さんの手になるもので、繊細な仕事、上品な仕上がりが見事です。芝居のシノプシスを思わせる端正なテキストは北橋朋也によります。
小店従来の品筋とは少々離れているように思われますが、18世紀の銅版画やマルティのイラストあたり、案外相性も良いのではないかと見ています。
■何だ何だ ! この活字と組版がきれいなのは !!! と、むしろそちらに気をとられたのが、表紙にエンボス金文字で『ROLLS-ROYCE』とだけあしらわれた「ロールスロイス・ファントムⅡ」のカタログ。ファントムⅡの製造が1929年から1935年だったことから考えて、1930年代の早い時期に発行されたものと推察されます。
パラパラとめくっていてシャシの写真に目を見張ったり、車種毎に記載されている価格(2,700~2,900ポンド)に吃驚したり、あれこれ計算をした鉛筆書き込みがあることから購入を検討していた人がいたというのに驚いたり、もちろん自動車のフォルムの美しさにうっとりしたり、先のタイポグラフィ等とも併せて実に見どころの多いカタログです。
wikiによるとファントムⅡの総生産台数は1,675台。とすると、カタログの印刷部数もせいぜい数千。今日まで残っているものの数は? … と考えるとおそらくレア(少なくとも小店は初見)。
他に1905年から1907に製造されたという「ロールスロイス 20 H.P.」のカタログも入荷。価格を比べてみると、ファントムⅡとの開きは約1,000ポンド(20H.P.の方が安い)。最高級車ロールスロイスの最上級サルーン、ファントムとでは、正直、カタログの出来にも開きがある、というのは店頭でご覧いただければ幸いです。
それにしても本当にレアなものにしか気持ちが動かなくなってきた小店店主。仕入れはどこまで続けられることやら… (と、来週もまた困難が続く。たぶん)。