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18/07/14 ロシア構成主義の精神を継ぐ ナタリー・パランの絵本ほか

■西日本を襲った豪雨、そして列島全体に及ぶ猛暑。概ね穏やかだと思われてきた日本の自然環境も、いまや荒ぶる神の意のままとなってしまったかのようです。
被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げます。猛暑で参っている方にはご自愛を祈念申し上げます。
本日7月14日(土)からの三連休は、更なる暑さが予測され、気象庁が異例の注意を呼びかけています。
この夏、小店では「ご来店をお待ちいたしております」なんて云うのをやめることにしました。
何かお目に留まるものなど出てまいりました折には、お電話かメールでお問合せ下さい。
何卒よろしくお願いいたします。

8日(日)には「明治古典会 七夕古書大入札会」を無事打ち上げ、今週水曜日からは通常の市場にも復帰して、普段のスケジュールに戻りました。「七夕」でいささか力尽きた感あり、新着品は貧弱ながら、珍しいものからご紹介すべく、トップバッターとしてナタリー・パランが関係した1930年代の絵本4冊を選びました。
ナタリー・パランは1920年に創設され、アレクサンドル・ロトチェンコはじめポホーワ、メーリニコフなど、ロシア構成主義の一翼を担った芸術家が教えるモスクワの国立高等芸術技術工房=ブフテマスで芸術を学び、1926年に結婚によりパリに移住。移住先のパリで、子どもたちが遊びながら学べる絵本「ペール・カストール」シリーズを創刊したばかりだったポール・フォシェに見いだされ、絵本作家としての仕事をスタートすることになりました。
画像の内、中段に配した2冊 --- 1933年発行の『ALLONS VITE (早く行きましょう)』1932年発行のリトグラフ刷『RONDS ET CARRES (丸と四角)』 --- は、ブフテマスですべての学生が学ぶことを義務図けられていたと云う「平面における色彩、構成、形態など、造形に関する一般原理」を十二分に活用した“ロシア構成主義そのもの”のような絵本です。

『ALLONS VITE』には、実際に子どもがハサミをもって遊べるように色薄紙が綴じ込まれているのですが、“遊ぶ絵本”として生まれた絵本の宿命か、その一部に切り取りがあります。
『THE PICTURE PLAY BOOK (絵遊び) 』は1935年にアメリカで発行された英語版。フランスで発行された元版とは判型が異なるようですが、リトグラフ刷であるところは元版と同じ。
『BABA YAGA (バーバ・ヤーガ) 』は1932年の発行、ロシア民話再話にパランが挿絵をつけたもので、「見開きページを大胆に使った構図など、随所にロシア構成主義の影響が見られ」ます。この2冊、中面をご紹介できないのが残念でなりません。Photoshop復活 (…つまりまだ直っておりません)するその日まで、しばしお待ち下さい。
*当商品に関するタイトル和訳と「」内引用文は鹿島茂著 2017年青幻舎発行 『フランス絵本の世界』によります。

■市場の片隅に置かれていたダンボール箱のなかにラリックがデザインしたコティの白粉のパッケージをパクッたのがあるのに気が付いてよく見れば、知らないメーカー&ブランドのものが多く、つい買ってしまった化粧品パッケージ関係より5点をピックアップして画像にしました。アール・デコ調のデザインで、全て戦前。
順不同になりますが、5点の詳細はと云うと …… ①これは有名・桃谷順天館の“無鉛・純粋”「明色粉白粉」、②私は初見でしたが調べてみると結構言及が見られる宇野達之助商会の「コケイタンゴドーラン」、③ロゴを見た瞬間に「Paris」と読み違えそうな大阪・ナリス本舗の「ナリス粉白粉」、④米国のモンダイ企業と同じような商品名ですが、こちらは日本の朝日薬粧品製造所製「特殊粉白粉 ヨット モンサント」、そして⑤最初に気付いたラリックのパクリのピナン化学研究所の「ピナン固型白粉」は中のパフまで残っています。 

このうちとくに③~⑤はこれまでのところほとんど手掛かりがなく、つまりはその程度には珍しい?はず……?
この他、モンココのパッケージ、資生堂のブリキの箱など、来週木曜あたりに店に入る予定です。

驚くほど珍しいかどうかと云うと、白粉の③~⑤の方が勝っているのかも知れませんが、中国語版はやはりそうあるものではないので。東方社制作・発行の日本を代表するプロパガンダ誌FRONTの5-6号で満洲を特集した『偉大的建設 満洲国』。昭和18(1943)年発行。
発行前年の1942年の夏から秋にかけ、満洲国建国10周年式典の取材等のため木村伊兵衛、濱谷浩、菊池俊吉などが満洲に派遣され、最年長の木村(当時40歳)を除けばほとんど20代だった写真部員が「飛行機・戦車・潜水艦などに搭乗しての過酷な取材や、初めての外地撮影にもかかわらず優れた写真を撮って」きたその成果とも云うべき1冊です(多川精一『戦争のグラフィズム』より)。
企画編集委員会には林達夫、春山行夫、岡田桑三等の名前が並び、美術主任は原弘。『偉大的~』のタイトルは、その原の手になるもの。どの頁をめくってみても、これはやはり、尋常ならざるプロパガンダ誌に違いありません。

■暑気払いに それにしてもどこまでこんなおかしな話が続くのかというお話をふたつ。実に誠にお寒いばかりなのでした。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2018/0709.html
https://note.mu/jun21101016/n/na37e1fa2f191 

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