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22/03/19 フルクサスとZちゃん !!!

■この原文を書き始めた3月18日の23時30分頃、岩手県で最大震度5強の地震があったことをテレビニュースが伝えていました。3月16日の地震以来、日本列島の北半分がまたしても落ち着かなくなってきました。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。そしてみなさま、どうかなお一層のご用心を!

くるくると巻かれた幅10cm弱の紙をするする開けば長さは約180cmという矢鱈に長いこの印刷物。形態からピンとくる方もいらっしゃると思いますが、いかにもフルクサス(Fluxus)らしいこの印刷物、エメット・ウィリアムズ(Emmett Williams)による『AN OPERA』という作品です。発行は1963年。
エメット・ウィリアムズはフルクサスの主要メンバーのひとり。1960年代半ばから1970年代初頭まで、フルクサスのメンバーの作品を刊行したことで知られるSomething Else Pressの編集長を務めた人物です。
ポンピドーセンターのサイトによれば、ウィリアムズは1958年から1963年にかけてパフォーマンスの原案、タイポグラフィによる造形作品など、ロール状の印刷物を制作、『AN OPERA』もそのひとつであり“句読点詩の習作”とされています。作品は遠目には五線譜のように見える三点リーダーのところどころに単語を配していて(それで句読点詩?)、一見すると現代音楽の楽譜のような面白さがあります。
今回下調べの段階で、一番驚いたのがウィリアムズがチェコの劇作家で初代大統領だったヴァーツラフ・ハヴェルと親しい友人だったこと。
ハヴェルと云えばビロード革命の大立役者であり、いまもチェコの人たちの尊敬を一身に集める初代大統領。ごく一部をのぞきイデオロギーと直結するようなアーティストが少ないフルクサスのなかでは、異色と云えるのかも知れません。
いま再び東欧諸国がロシアの影響によって不安定になるなか、僅かに記されたこの両者の関係が気になってきました。
 

■2点目は井口真吾のZちゃんのキャラクターグッズ的アーティストブック『THE Z CHAN LONE IN THE SNOW』1986年、Z PLAN FACTORYが発行がした限定200部の内の67番。この辺りの情報は箱の上蓋内側のスタンプなどによって確認することができます。
箱をあけるとZ.P.F.の荷札付き綱紐、同じくZ.P.F.の腕章LOVE IN THE SNOWのオブジェ付き帆布ビニール袋に封入された印刷物、同じく封入されたカンバッチと植物標本「雪の中の恋」と題された印刷物白ダンに青一色で図版やメッセージを入れた印刷物Zちゃん漫画の雑誌抜き刷りなど、素材も形態も技法も異なるガジェットが現れます。
また、今回入荷分としては画像左上のトランプ、缶バッチ、小冊子『TURIP WATER』(1989年)2冊縦に長く伸びる『Z MAIL』もあります。
『THE Z CHAN LONE IN THE SNOW』の複製芸術の詰め合わせというアイディアと関係性があるとは思えない個別のアイテム、縦に長く続く印刷物、『TURIP WATER』についているメッセージが印刷された名刺状のカードなどなど、「あれあれ? これはフルクサスっぽいゾ」と思われるところがそこここに!
Zちゃん誕生は1984年、漫画雑誌誌上でのこと。フルクサスの活動開始から二十四年でフルクサスと呼ばれたアートはZちゃんというキャラクターに姿を変えて、日本の大衆文化に溶け込んでいきました。
ところが話しはそこで終わりません。
2010年、井口真吾は上海万博記念版画展に草間彌生や横尾忠則らとともに選出され出品それがZちゃんとZちゃんに登場するキャラクターを作品化したものでした。
アートから漫画へ、漫画からアートへ。Zちゃんのこの一連の作品が草間・横尾と並び評価される日は近い!!! (と思いたい……)

■今週の斜め読みから。今週は面白かった2本。

真面目そうで実はふざけているのかも知れないがしかしそうかも知れないと思うところなきにしもあらず
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%9C%AB%E8%B7%AF3%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3-%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%8B%E5%86%85%E6%88%A6%E3%81%8B/ar-AAV6gPH?ocid=ob-fb-jajp-779&fbclid=IwAR14Ut2QiI5HG3OmEhwpiwg47fdTjiS2meQtCqrqBX29EbQ2F6LAB3S999k

そして世界を飛び歩く人-日本人が客観的にみた日本のいま。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00371/031000046/?fbclid=IwAR17DjR77jTHBkqXJScHmRDyByoOnz_Cv3rkyBEGFumzQwkrj8pCW2RDWFM
 

 

22/03/12 久しぶりの洋もの! デペロのボルト本と19世紀末~20世紀初めの商品カタログ


デペロの通称「ボルト本」。いつか是非、オリジナルを扱ってみたいと思っている本のひとつです。いまから100年近く前、1927年に刊行されたオリジナルについては、しかし、機会の点でも資金の面でも、小店などで仕入れられる可能性は低いだろうということで、市場に出品されたリプロダクトを落札しました。
リプロダクトは買わない主義の小店ですが、オリジナルはすでに歴史的傑作として世界中でミュージアム・ピースになるなど、入手は困難。このクラスの場合はリプリントやむなしと考え始めています。
「ボルト本=The Bolted Book」という通称でよく知られる『DEPERO FUTURISTA』は、イタリア未来派のアーティストであるデペロ=Deoeroの代表作のひとつ
フォルトゥナート・デペロ(またはデペーロ)は20世紀初頭のイタリアで起こった前衛芸術運動・未来派を代表するアーティストのひとりで、画家、デザイナー(コスチュームデザイン、グラフィックデザインなど)、バレエはじめ舞台作品など、多岐にわたる分野で活躍しました。
『DEPERO FUTURISTA』は当時としては超モダンだったデペロのグラフィックデザインの集大成ともいうべき書籍であり、またオブジェ作品となっています。
厚さ約2cm、240ページ。本文ページはその多くが片面印刷となっていて、ボルトを外してプレートとして楽しむことまで企図されているのだとか。
今回入荷したリプロダクトは2017年、Thames & Hudsonが限定1000部を刊行したうちの1冊で、「過去に2度復刻版が制作されましたが、本作はオリジナル版の印刷、仕様を忠実に再現し、過去最高の再現性を持った復刻版」だと云われます。(http://www.nadiff-online.com/?pid=122372304 NADIFFサイトより)
添付の『READER'S GUIDE』は英文で47P。図版を多数収め、こちらのデザインもなかなかのものです。
ボトル部分の保護など含め、よく考えられた保護箱付き
小店店主にとっては夢を半分かなえてもらえた新着品となりました。
オリジナルを扱う日は来るのでしょうか!?

2点目は7冊入荷した19世紀~20世紀はじめの通信販売用のカタログより、いずれもアメリカにあった通販会社または百貨店(3社とも現存せず)のもので、上からニュヨークの百貨店の1885
~1886年・秋冬カタログ、ボストンの百貨店の1884~1885年秋冬カタログ、ニューヨーク通販会社の1918年春夏カタログ

19世紀のカタログは珍しいのではないかと思います。
この当時のものなので、商品の図版は全てイラストで一部を除きモノクロ。
婦人、紳士、子どもの洋服を中心に、ハンドバック、靴、帽子、アクセサリー等装飾品、肌着、リネン類、喫煙具など、身の回りのものがひととおり買える仕組み。なかには つけ毛 なんてものまで掲載されています。
19世紀後半から30~40年後の20世紀初めになると、カタログにもカラーページが増え、とくに婦人服のシルエットがウエストシェイプからゆったりしたパターンへと変化が顕著。紳士服はそうだろうと思いますが、靴についてもあまり大きな変化は見られないのは少し意外。
しかし最も顕著な変化は、19世紀のカタログの図版がほとんど銅版画・静止画のタッチであるのに対し、20世紀になると商品を身に着けた人物が多く、また下絵がハンドペイントによって描かれ、ゆらぎが与えられたことで、人間と商品に動きが出てくること。
必要から欲望へ。消費のスタイルに変化の兆しが垣間見られます。
カタログごとに掲載されるアイテムに異同があったり、図版のタッチに違いがあったり、通信販売用のカタログはつくづく通信販売に向いておらず、店頭でご覧いただければと存じます。

■この他、仕掛け本、手製本、商標スクラップブック、明治~大正雑誌表紙・挿絵コレクションファイルなど続々入荷中! 店頭で是非ご覧下さい。

11年前と曜日も同じ3月11日となった昨日。市場から市場へと移動する途中、海の近くのカフェで一休みすることになりました。古本屋としては非常に珍しい行動パターンです。
春を思わせる日差しのなか、目の前ににひろがる海はどこまでもおだやかで、あの日荒れ狂った海の景色をうっかり忘れてしまいそうになりました。
依然、行方不明の方も2500名を超えると聞きます。
フクシマはご存知の通り、収束などまだまだ望めません。
11年前のあの日、さまざまなかたちで被災された方たちに改めてお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
世界はまた、フクシマに続きかねない問題まではらんでコロナに続き先の見通しがたたない日々が続きそうです。
2022年の3月11日の金曜日。その時に見た海のように、おだやかでのどかな日々が一日も早く世界中に訪れますように……

 

22/03/05 戦争という名の ……

■今週の新着品は先週ご紹介した昭和15(1940)年、選挙粛正中央連盟が発行した『国を挙げて』の続きです。『国を挙げて』は印刷物でしたが、今回入手した2冊はその下絵を含む全点油彩または水彩による肉筆画の綴りです。
サイズも『国を挙げて』と同じ35×52cmで、上から貼り付けた紙をめくったり広げたりすると場面が転換するギミックも健在です。
先ず表紙に『戦争』と書かれた1冊について。
表紙に「研児 画」の署名がありますが、戦争画の絵葉書に僅かに名前を残すのみ。残念ながらいまのところ詳細は不明です。
また、こちらの1冊は表紙と裏表紙に厚紙を使用、裏表紙には壁などに掛けられるように紐が通されていることから、肉筆画そのままで掛図として使用されていた可能性があります。
テーマは諜報の意味・役割と海外諜報に関する注意など、諜報に関する啓蒙に主眼が置かれています。ほとんどが縦2頁をフルに使った全20図
もう1冊は表紙のない中綴じ29図
表紙・裏表紙ともなく、また、標語・啓蒙的内容のない戦争画も含まれていること、『国を挙げて』に使われている全く同じ絵や原案となったと思われる作品などもあること、そして、複数の作家の手になるものが集められていることなどから、こちらは純粋に下絵をまとめておいたものではないかと見ています。
また、こちらの1冊のなかには「不滅の信念! 敗戦恐るゝに足らず!」と敗戦を織り込んでものが含まれており、『国を挙げて』が発行された1940年から制作年に開きがあった可能性を伺わせます。

先週も同じようなことを書きましたが、どちらも実にベタな、ベタとしか言いようのないプロパガンダです。ベタすぎるプロパガンダがいかにグロテスクなものであることか!
プロパガンダの一傾向を伺い知るための手掛かりとなるのではないかと思います。
『国を挙げて』との関連性などから、今週の2点と併せ、3点一括での販売を考えております。

今年の3月11日は、あの年と同じ金曜日なんだなとカレンダーを見て気付いた3月4日の朝、ロシア軍がウクライナのザボリジエ原発を攻撃し、火災が発生しているというニュースが入ってきました。
ウクライナ最大といわれる規模のザボリジエ原発は、爆発すればヨーロッパの終わりとも云われています。
加えていま、核兵器の行使を決定できる地球上の権力者のひとりは、正気を疑われ始めています。
核兵器も原発も、人間は核をもつに値するには程遠い存在であることを、そろそろ認めるべきではないでしょうか。
今週の斜め読みから。

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/022800313/
https://www.cnn.co.jp/world/35184470.html
https://mainichi.jp/articles/20220225/k00/00m/030/328000c
https://courrier.jp/news/archives/280031/

あたくさんありすぎてもっと重要なものが落ちている気が …

 

 

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